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【初級者向け】スペイン語と英語の文法や語句に関する 相違点 を比較して解説します。

スペイン語 は英語と同じく西洋の言語であり、日本語とは異なりルーツが共通すると言われています。しかしスペイン語と同様にラテン語をルーツとするポルトガル語やイタリア語と比較すると相違点もかなりあります。
スペイン語 を学習する方の多くは英語もある程度理解されていると思います。それ故に スペイン語と英語の相違する箇所で学習する上で思わぬ躓きとなることがよくあります。私も当初は同じでした。ある程度両者の共通点と 相違点 を頭の中で整理しておくとスペイン語の理解が速まります。

スペイン語と英語の 相違点 を一言でいうと動詞の活用が英語よりかなり複雑です。この動詞の活用がスペイン語を学習する上での最も高いハードルとなります。逆にここさえ攻略すれば英語より簡単ともいえます。このページではスペイン語と英語の相違点について紹介していきます。スペイン語と英語の共通点については別のページで紹介しています。

スペイン語と英語の 相違点

目次

1.文の構造上の相違点

1)動詞が主語によって変化する。
2)動詞の時制が英語より多様
3)接続法という動詞の活用がある。
4)語順にこだわらない。
5)目的語を動詞の前に置く。
6)動詞が2つ連なることがある。
7)文法上の主語と意味上の主語が異なることがある。
8)受動態は3種類の構文がある
9)再帰動詞は英語より用途が広い
10)命令形の動詞は原形(不定詞)を使用しない。
11)al+動詞原形(不定詞)で時を表す副詞節となる。

2.語句に関する相違点

1)名詞・形容詞・冠詞には性別がある。
2)形容詞・冠詞・所有代名詞は名詞が複数形のときは複数形になる。
3)be, know, canに相当する動詞・助動詞は2種類ある。
4)haveはその意味によって2つの動詞に分かれる。
5)1つの動詞でdoとmakeの意味を兼ねる。
6)onに相当する前置詞がない。

スペイン語と英語の 相違点 を解説

1.文の構造上の 相違点

1)動詞が主語によって変化する。

ここがスペイン語と英語の一番大きな相違点といっても過言ではありません。
英語でもbe動詞のように主語によって動詞が変化する場合もありますが限定的です。
一方スペイン語ではすべての動詞が必ず主語によって変化します。理由は次の2)で解説するにように必ずしも主語が必要ではないためです。そのため主語によって日本語を変化させないと誰が文の主体となるのかが判別できないこととなります。
主語をつけずに文が成立するのは日本語でもよくあることです。しかし日本では文脈で主語を判別しますが、西洋人はそうではありません。だから主語をつけない代わりに動詞を主語によって変化させて主語を判別できるようにすることが必要となってきます。
例文をいくつか紹介していきましょう。

例えば英語で
We played baseball here long time ago.
(ずっと昔私たちはここで野球をしました。)
この文をスペイン語に変換しましょう。

1) Nosotros jugamos a béisbol aquí hace mucho tiempo.
2) jugamos a béisbol aquí hace mucho tiempo.

上記の1)と2)は主語のnosotrosがあるかないかだけの違いですが、どちらも文として成立します。むしろ通常は2)の主語のない文を使用します。
主語のnosotrosをつけるのは「私たち」という部分を強調したい場合のみといっていいでしょう。
英語では主語のない文は成立しません。
Played baseball here long time ago.
これでは「誰が」野球をしたのか全くわかりません。西洋人は日本人のように文脈で主語を読み取ることをしませんので、英語では一部の例外を除き成立しません。
一方スペイン語では動詞のjugarを “jugamos” と変化させているのでこれで主語がnosotros(一人称複数)であることが判別します。
もし主語が「私(一人称単数)」なら
jugué a béisbol aquí hace mucho tiempo. となり、
主語が「彼ら(三人称複数)」なら
jugaron a béisbol aquí hace mucho tiempo. となります。

スペイン語では全ての動詞で主語を省略できますので、逆にすべての動詞を変化させないと主語を認識できなくなります。
英語では主語を変化させないため主語を省略できないこととなります。

しかしスペイン語は主語が省略できるといってもそれは代名詞の場合です。
主語が代名詞に置き換えできないケースでは主語をつけないといくら主語を変化させても「誰が」主語であるか認識できないからです。
Antonio jugó a béisbol aquí hace mucho tiempo.
(アントニオはずっと昔ここで野球をしました)
この場合は動詞が「jugó」と三人称単数の変化をしているので主語が三人称単数であることは認識できますが、「Antonio」が主語であるかどうかは主語をつけないと認識できません。一度文脈で「Antonio」が登場していれば代名詞「él」に置き換えできますので、この「él」を省略して jugó a beisbol aquí hace mucho tiempo.という文が成立します。

2)動詞の時制が英語より多様

英語においても時制は現在形・過去形・進行形・完了形・未来形など多岐に渡ります。
現在形や過去形は直接動詞を変化させて表現しますが、それ以外は他の動詞や助動詞と組み合わせて表現します。
一方スペイン語においては進行形や完了形は他の動詞との組み合わせで表現しますが、未来形は直接動詞を変化させて表現します。
また過去形は状況に応じて2種類の変化があります。
未来形も現在時点からの未来と過去時点からの未来で異なる変化をします。

例えば英語の動詞「go」を例に挙げて解説します。
goの場合はその活用は go,went,gone,going,goesの5種類です。
そのうちgone,goingの2つは過去分詞、現在分詞のように他の動詞との組み合わせで時制を構成する動詞であり、goesは主語による変化ですので、実質動詞自体の変化で時制を表現するのはgo,wentの2つとなります。

一方スペイン語の動詞「ir」(英語のgoの意味)においては主語が一人称単数の場合、voy(現在形),fui(完了過去),iba(不完了過去),iré(未来形),iría(過去未来形)の5種類の変化があります。それぞれについて英語とスペイン語の例文を挙げながら考察していきましょう。

①現在形 voy

英語の現在形goに相当します。
I go to the school every day. (私は毎日その学校へいきます)
スペイン語へ変換すると
Voy a la escuela cada día. となります。
この変化は特に難しくないですよね。

②完了過去 fui

完了過去は過去の1時点の過去を表現するときに使います。
通常よく使う過去形はこの完了過去です。
I went to the school 2 years ago. (私は2年前その学校へ行きました)
スペイン語では
Fui a la escuela hace dos años. となります。
「2年前」のように過去の一定の期間や過去の1時点に行った行為を表現します。

③不完了過去 iba

不完了過去は習慣的な過去を表現するときに使います。
I often went to Madrid when I was a child.
(私は子供のころ、よくマドリードへ行きました)
スペイン語では
Iba a Madrid a menudo cuando era un niño. となります。

英語では過去の1時点の「go」も習慣的な「go」もいずれも「went」で表現しますが、スペイン語では1時点の「ir (go)」と習慣的な「ir (go)」ではそれぞれ「fui」「iba」と異なる活用をします。

④未来形 iré

英語の場合未来を表現する場合は「will+動詞原形」を使います。
一方スペイン語ではwillのような他の動詞や助動詞と組み合わせず動詞を変化することで表現します。
例文として英語の以下の表現をスペイン語に訳してみましょう。
I will go to the shop. (私はその店へ行くつもりだ)
スペイン語に訳すと
Iré a la tienda. となります。
スペイン語では英語の “I will go” を「iré」の一語で表現します。
なれれば逆に簡単かもしれませんね。

また英語のwillは「~だろう」や「~かな」のような推測を表現するときにも使われますが、スペイン語の未来形も同じく推測を表現することができます。英語とスペイン語の例文を挙げてみます。
He will go to the shop. (彼はその店へ行くだろう)
Irá a la tienda.
主語が「私」ではなく「彼」ですので「iré」ではなく 「irá」を使っていますが、これも未来形で推測の表現です。

⑤過去未来形 iría

過去時点から未来を表現するケースです。
英語では「would+動詞原形」となります。英語とスペイン語で例文を挙げてみましょう。
I would go to the office. (私は事務所へ行くつもりだった)
Iría a la oficina.
スペイン語では英語の “I would go” を「iría」の一語で表現します。
また過去未来形の動詞は過去の推測や仮定法(現実と異なる想定での推測)の場合にも使えます。

3)接続法という動詞の活用がある。

スペイン語には接続法という動詞の活用があります。これは英語にはない概念です。
特に2つ以上の節を連結している文において、接続法の活用がよく登場します。これはまず例文を見ながら説明しましょう。

2つ以上の節を連結している文を大別すると名詞節、形容詞節、副詞節の3つに分類されます。それぞれの節において動詞を接続法の活用するケースを見ていきましょう。

①名詞節

文の中の名詞の部分を文に置き換える構文です。名詞節の場合、主節の動詞が命令、価値判断、感情、願望、否定などを表現している場合に従属節の動詞は接続法の活用が必要です。
つまり従属節の内容が実際の事柄とはいえない場合に接続法となります。
英語とスペイン語で例文をみていきましょう。

従属節の動詞が直接法となるケース

I think that he is a student. (私は彼は学生であると思う)
この英文はthat以下が代名詞itにも置き換えができるので名詞節の文となります。
この文をスペイン語にすると
Creo que es un estudiante. となります。
このケースでは主節の動詞が単に「思う」という意味であり、命令、価値判断、感情、願望などを表現していないため、普通にserを直接法の活用をして「es」とします。

主節の動詞が命令の場合

My mother told me that I would go to school. (母は私に学校へ行くように言った)
この文は主節が “told me”となり母は私に対し命令しています。この場合スペイン語に変換すると次のようになります。
Mi madre me dijo que fuera a la escuela.
従属節の動詞「ir」を接続法過去一人称単数で活用して「fuera」とします。

主節が価値判断を表す場合

It is important that you study hard for passing the exam.
(試験に合格するためにはしっかり勉強することが重要だ)
“It is important” は「重要」であると価値判断をしています。この場合スペイン語に変換すると次のようになります。
Es importante que estudies mucho para aprobar el examen.
従属節の動詞「estudiar」を接続法現在二人称単数で活用して「estudies」とします。

主節が感情を表す場合

I am very happy that you won the game. (君が試合に勝ってとてもうれしい)
“I am happy” と感情を表しています。この場合スペイン語に変換すると次のようになります。
Me alegro de que ganaras el partido.
従属節の動詞「ganar」を接続法過去二人称単数で活用して「ganaras」とします。

主節が願望を表す場合

I hope that he will become a pilot. (私は彼がパイロットになってほしい)
「hope」を主節で使っているので願望を表しています。スペイン語に変換すると以下のとおりとなります。
Deseo que llegue a ser un pilot.
従属節の動詞「llegar」を接続法現在三人称単数で活用して「llegue」と表現します。

主節で否定している場合

I don’t think that she is healthy. (私は彼女が健康とは思えない)
主節では “I don’t think” と否定しています。この場合スペイン語に変換すると次のようになります。
No creo que ella sea salud.
従属節の動詞「ser」を接続法現在三人称単数で活用して「sea」とします。

②形容詞節

従属節が名詞を修飾する場合です。修飾される名詞が不特定や否定の場合に従属節の動詞は接続法となります。英文と一緒に例を挙げてみましょう。

修飾される名詞が不特定の場合

I’m looking for someone who will go shopping with me.
(私と一緒に買い物に行ってくれる人を探している)
この場合「私と買い物に行ってくれる」「someone」は不特定の人物です。スペイン語に変換すると以下のとおりとなります。
Estoy buscando a alguien que vaya comprando conmigo.
従属節の動詞「ir」を接続法現在三人称単数で活用して「vaya」とします。

修飾される名詞が否定の場合

There is nothing that I want. (私は欲しいものは何もない)
「私が欲しい」物はない(nothing)なので、スペイン語では以下のように表現します。
No hay nada que quiera.
従属節の動詞「querer」は接続法現在一人称単数で活用して「quiera」とします。

③副詞節

従属節が時や目的、条件など主節にとって副詞の働きをするケースです。
副詞節の動詞が直接法となるか接続法となるかどうかは大まかにいうと、確定的な内容を表す場合は直接法、不確定な場合は接続法となります。但し例外も多いので注意が必要です。
ここでも英文と一緒にスペイン語の例文を紹介していきましょう。

時を表す副詞節は未来の内容の場合に接続法となる。

She might be a singer when she is grownup.
(彼女は大人になったら歌手になるかもしれない)
これは「彼女が大人になる」という未来のことを表現しています。スペイン語に翻訳すると次のとおりとなります。
Ella puede ser una cantnte cuando crezca.
副詞節の動詞「crecer」は接続法現在三人称単数で活用して「crezca」となります。
未来のことは不確定ですので接続法となると考えられます。

目的を表す副詞節は接続法となる。

I will be in silence in order that they won’t wake up.
(彼らが目を覚まさないようにするため私は静かにしておく)
“in order that” 以下は目的を表現する副詞節です。スペイン語に変換すると以下のとおりとなります。
Estaré en silencio para que no se despierten ellos.
目的を表す副詞節の動詞「despertar」は接続法現在三人称複数で活用して「despierten」となります。目的は実現を目指すものであり、不確定であるため、それを表現する場合の動詞は接続法となります。

条件を表す副詞節は「si」で始まるものを除き副詞節となる。

She will study abroad even though her parents oppose themselves.
(彼女はたとえ両親が反対しても留学するだろう)
“even though” 以下は条件を表現する副詞節です。スペイン語に変換すると次のとおりとなります。
Ella estudiará en el extranjero aunque se opongan sus padres.
条件を表す副詞節の動詞「oponerse」は接続法現在三人称複数で活用して「oppongan」となります。条件はまだ実現しておらず、不確定であるため、それを表現する場合は接続法となります。但し「si」で始まる条件の場合の副詞節の動詞は直接法となります。

ここでは接続法の代表的な用法として名詞節、形容詞節、副詞節に分けて説明しました。
ほかにも例外が多く、用法は複雑・多岐にわたります。
全体的に習得が容易といわれるスペイン語ですが、この接続法はスペイン語の最難関項目であり、逆にいえばここを攻略できればスペイン語の全体の半分以上を攻略したといってもいいくらいです。接続法をすべて説明しようと思うと本が一冊書けるくらいです。
接続法についてはもっと詳細を改めて説明しようと思いますのでしばらくお待ちください。

4)語順にこだわらない

英語は語順が非常に重要な言語です。語順が異なると文として成立しません。
一方スペイン語はある程度語順に自由度があります。英語とスペイン語を比較して例を挙げてみます。

I like music. という文例を挙げてみました。
この場合 “like I music” や “Music like I” では全く通じません。
スペイン語では Me gusta la música です。
この場合 La música me gusta. でも全く同じ意味となります。

もう一つ例文を挙げます。
She is a girl who is called Juana.(彼女はファナという名前の少女です)
この文をスペイン語へ変換してみます。
Ella es una niña que se llama Juana.
英文は語順を変えることはできませんが、スペイン語の文では “Es ella una niña que Juana se llma.” でも通じます。

5)目的語を動詞の前に置く。

スペイン語では動詞の前に目的語を置かれているのをよく目にします。特に目的語が代名詞の場合は当然のように文頭に置きます。例えば以下のような文です。

Se me ocurió una idea. (一つアイデアを思いついた)
Me han dicho que ellos estaba ocupados. (彼らは忙しいと聞いた)
Te mandaré el video. (君にそのビデオを送るよ)

このようにスペイン語では動詞の前に置くことが頻繁です。英語ではなかなか見ない形なので最初はなかなか慣れないと思います。

6)動詞が2つ連なることがある。

英語でもto不定詞のtoを省略して動詞が2つ連なることがありますが、通常は英語ではなかなかありません。
しかしスペイン語ではよくあることです。例を挙げてみます。

Quiero escuchar música. (音楽を聴きたい)
Intento aprender español. (スペイン語を勉強するつもりだ)
Ella contunua trabajar todavía. (彼女はまだ働き続けている)

英語では不定詞や動名詞となるところをスペイン語では原形(不定詞)を使うため動詞が2つ連なることとなります。

7)文法上の主語と意味上の主語が異なることがある。

これはguatar型構文といい、スペイン語ではよく見られる構文ですが、英語に慣れている方には違和感があると思われます。例文を挙げてみます。

Me gusta el deporte.
日本語では「私はスポーツが好きだ」と訳します。
英語では “I like sports” となります。
英語や日本語では主語は「I(私)」、目的語は「sports」となり、意味的にも私が主語で、スポーツが目的語となります。
しかしスペイン語では意味的な主語は「私」で「スポーツ」が目的語となりますが、文法上では「deporte (スポーツ)」が主語で「私」が目的語となります。
このスペイン語の文を直訳すると「スポーツが私を好ませる」となります。非常に不自然な日本語のため、日本語訳では「私はスポーツが好きだ」とするのがベストです。

英語的には “Yo gusto el deporte” とした方が自然な感じがしますが、これでは「スポーツは私のことが好きです」という意味となってしまいます。
あくまで「私」は目的格の「me」、動詞は三人称単数形の「guata」としなければなりません。

例文では主語の「スポーツ」が単数形ですが、これが複数形なら動詞も複数形となります。
例えば「私はいろんなスポーツが好きです」なら
Me gustan varios tipo de deportes. となります。
動詞gustarを三人称複数形の「gustan」とします。

8)受動態は3種類の構文がある

英語で受動態を表現するときは「be動詞+過去分詞」となりますが、スペイン語では3種類あります。
1つ目は英語の「be動詞+過去分詞」に相当する「ser+過去分詞」です。
2つ目は再帰動詞で表現する方法です。
もう1つは主語が三人称の場合は動詞を三人称複数形とすることで表現できます。
例えば「このパーティーは昨日開催された」という文をスペイン語で2通りの表現をしてみましょう。

①ser+過去分詞

Esta fiesta fue celebrado ayer.
「fue」は ser の三人称単数完了過去形です。

②再帰動詞

Esta fiesta se celebró ayer.
「celebrar」は「祝う」と意味もありますが、「開催する」という意味もあります。
この文では主語は三人称単数ですので「se celebró」と「se+三人称単数の動詞」とすれば再帰形となり、受動態を表現できます。
直訳すると「このパーティーはこのパーティーを昨日開催した」となり、結局は「このパーティーは昨日開催された」となります。
パーティがパーティ開催をしたするということですので結局「パーティは開催された」という意味となります。

③三人称複数形

Esta fiesta celebraron ayer.
主語が三人称の場合は三人称複数形で受動態を表現できます。
直接的な意味合いとしては「このパーティーは(複数の人によって)開催された」という感じです。ボンヤリと複数形になるようなイメージです。

9)再帰動詞は英語より用途が広い

英語の再帰形は “enjoy oneself” のように他動詞に oneself をつけることによって「(主語の人物が~する」と表現することができます。
日本語では「enjoy」を「楽しむ」と訳しますが、「楽しむ」は「~を楽しむ」というように直接目的語をつけるのが普通です。このように直接目的語を伴う動詞を他動詞といいます。
一方、目的語を伴わなくても成り立つ動詞を自動詞といいます。
「enjoy」という動詞は、日本語では「私は楽しむ」というように目的語なしで表現することができますが、英語では “I enjoy myself” と oneself をつけなければなりません。

スペイン語も英語の再帰形と同様の表現方法があります。
それは「他動詞+se」の形とすることです。
例文を挙げてみましょう。

me divertió la fiesta.
日本語へ変換すると、「パーティは私を楽しませた(私はパーティを楽しんだ)」となります。
これは「楽しませる」という意味の動詞「divertir」は英語同様他動詞なので「私を」という目的語をつけます。
この文の主語を私にすると以下のようになります。
me divertí con la fiesta.
「divertirse」という再帰形の動詞を一人称単数完了過去形とし「私が私を楽しませた」という形にします。

英語ではoneself、スペイン語ではseと再帰形の見た目は異なりますが、構造は全く同じであることが分かると思います。このケースでは英語もスペイン語も共通です。
しかしスペイン語ではこのケース以外にも再帰形を使用する場面がありますので紹介していきます。

①お互いに何かする場面

例えば「また会いましょう」をスペイン語でいうと “Nos vemos otra vez” となります。
このようにお互いに何かをする場面では再帰形となります。
一方、英語ではこの場面では “see ourselves again” とはいいません。”see you again” というのが普通です。

②自分に対して何かをする

例えば「私は毎日顔を洗います」をスペイン語でいうと
Me lavo la cara todos los días. となります。
この文を日本語に直訳すると「私は私に対し顔を毎日洗います」となります。
一方、英語ではこの場面で “I wash myself the face” というのを聞いたことありません。普通に “I wash my face” のように「私の顔を洗う」と表現します。

10)命令形の動詞は原形(不定詞)を使用しない。

英語では命令形の文は “Tell me why” や “Do me a favor” のように動詞は原形を使用します。
一方スペイン語では原形(不定詞)は使用せず、主語によって動詞は変化します。
先ほどのフレーズの場合、相手が二人称単数なら “Dime porqué” “Hazme un favor” となります。三人称単数なら “Digame porqué” “Hagame un favor” となります。
ご覧のとおり目的語は代名詞の場合は動詞の後ろに来ます。

否定命令の場合も英語とスペイン語では異なります。
英語では “Don’t give up” や “Don’t stand up” のように「Don’t +動詞の原形」で表現します。
一方スペイン語では「No +接続法現在形」で表現し、動詞は主語によって変化するので英語と比べるとかなり複雑です。
先ほどのフレーズの場合、二人称単数なら “No lo abandones” “No te pongas de pie”となります。目的語は直接目的語の場合も、間接目的語の場合も動詞の前に来ます。

命令文については別のページ「スペイン語の命令文をマスターしよう」で詳細に解説しております。こちらもご覧ください。

11)al+動詞原形(不定詞)で時を表す副詞節となる。

スペイン語では時を表す副詞節として英語の “when” に相当する “cuando”を使用することが一般的ですが、「al+不定詞」で時を表すこともできます。
“al” は前置詞 “a” と定冠詞 “el” を合わせた形です。
例文を見てみましょう。
Llevo el pasaporte al ir a extranjeros. (外国へ行くときはパスポートを持参する)
Tomo notas al asistir a la clase.(授業に出席するときはノートをとる)
「al + 動詞の原形」で表現できるのは主節と主語が同一の場合のみであることに注意が必要です。

2.語句に関する 相違点

1)名詞・形容詞・冠詞には性別がある。

①名詞

英語の名詞にも中世には性別があったと聞きますが、今現在はありません。
一方、スペイン語は他の多くの西洋言語と同様に性別があります。
名詞に関しては固有名詞以外のすべての名詞に男性名詞と女性名詞があります。
(男性名詞の例)
camino,edificio,cielo,viernes,año,problema,orden
(女性名詞の例)
puerta,casa,semana,iglesia,cartera,mano,orden

語尾が “o” の場合はその多くは男性名詞となり、語尾が “a” の場合女性名詞となります。人の名前も男性ならDiego,Antonio,Fernandoなど語尾が “o” のときは男性の名前、Valentina,Juana,Ramona など語尾が “a” なら女性となります。
但し例外があり、上記のとおり “problema”(問題) は語尾が “a” ですが男性名詞となる場合もあり、逆に語尾が “o” でも “mano” のように女性名詞となる名詞もあります。
さらに “orden” のように意味によって性別が変わる場合もあります。
“orden” は「順序」の意味では男性となりますが、「命令」の意味では女性となります。

②形容詞

スペイン語では名詞の性別に応じて形容詞も変化する場合があります。
例えばamarilloとamarilla、primerとprimera、caroとcara、delgadoとdelgada などです。
語尾が男性名詞を修飾するときは o 、女性名詞を修飾するときは a となります。但しprimerのように名詞を修飾しない場合はprimero、名詞を修飾するときはprimerとなり、名詞を修飾する場合に語尾の o がつかない形容詞もあります。

③冠詞

英語の定冠詞は “the” のみですが、スペイン語の定冠詞は性別・単数複数によって el,la,los,las の4つに分かれます。日本でもお馴染みの単語でいえば以下のとおりです。
El Niño(エルニーニョ現象), El salvador(エルサルバドル 国名), La Niña(ラニーニャ現象), Los Angeles(ロサンゼルス), Las Vegas(ラスベガス)などです。
ロサンゼルスやラスベガスは昔メキシコ領であったため、スペイン語の地名となっています。なおロサンゼルスのスペイン語発音は「ロサンヘレス」です。

2)形容詞・冠詞・所有代名詞は名詞が複数形のときは複数形になる。

英語ではたとえ名詞が複数形であっても、それを修飾する形容詞あるいは冠詞、所有代名詞は特段変化しません。
たとえば
white cars, many dogs, the men, my apples などです。
これらのフレーズをスペイン語でいうと、
carros blancos, muchos perros, los hombres, mis manzanas のように
blanco,mucho,el,mi などの形容詞、冠詞、所有代名詞が複数形となります。
1)で挙げた Los Ángeles や Las Vegas もやはり冠詞が複数形となっています。

3)be, know, canに相当する動詞・助動詞は2種類ある。

スペイン語ではbe,know,canといった基本的な動詞、助動詞は2種類あり、しっかり使い分けをします。

①be動詞

英語のbe動詞に相当するスペイン語の動詞はser と estar です。
be動詞は主に「~です」「~になる」「~にいる」「~の状態である」という意味を表します。
スペイン語のser やestar もbe動詞と同じ働きをしますが、ser は恒久的な場合、estar は一時的な場合を表現するときに使います。
したがって、大きく分けるとser は「~です」「~になる」という場合に使用し、estar は「~にいる」「~の状態である」を表現する場合に使用します。
例文を挙げてみます。

Soy japones. (私は日本人です)
Finalmente llegó a ser una cantante. (彼女はついに歌手になった)
Estamos en Nueva York. (私たちはニューヨークにいます)
Estoy enfermo. (私は病気です)
いろいろな例文を見て使い分けの感覚を覚えてください。

②know

英語の know に相当するスペイン語は saber と conocer です。
知識として知っている場合は saber, 経験上知っているときは conocer を使います。
例文を見てみましょう。

Sé que los perros es más fuertes que los gatos.(犬は猫より強いことを知っている)
Lo conozco sólo de nombre.(私は彼の名前だけは知っている)
結構微妙な違いですね。

③can

英語の can に相当するスペイン語は先ほども登場した saber と poder です。
saber は「知る」という意味と「~できる」の大きく分けると2つの意味があります。
poder も「~できる」の意味がありますが、使える場面は異なります。
saber は能力的に「~できる」、poder は状況的に「~できる」の意味となります。
例文を見てみましょう。

Ella sabrá aprobar el examen.(彼女は試験を合格することができるであろう)
Ustedes pueden bailar aquí.(君たちはここでダンスをすることができる)

4)haveはその意味によって2つの動詞に分かれる。

英語の have は大きく分けると「~を持つ」という意味と完了形を構成する一部(have+過去分詞)の意味と2つあります。
「~を持つ」の意味はスペイン語では tener を使います。
完了形を構成する一部の場合は haber を使います。
例文を見てみましょう。

Tengo tiempo de sobra.(私は時間が十分にある)
Tienes un nombre bonito.(君は素敵な名前を持っている)
Me han dicho que él había sido atropellado.(彼が車に轢かれたと聞いた)
He levantado muy temprano esta mañana.(私は今朝とても早く起きた)

5)1つの動詞でdoとmakeの意味を兼ねる。

スペイン語の hacer のように逆に英語の do と make の2つの意味を持つ単語もあります。例文を見てみましょう。

Hace lo que quieras.(彼は君の望むことを何でもする。英語の do に相当)
Me hizo llamar a mi madre. (彼は私に母へ電話をかけさせた。英語のmake に相当)

6)onに相当する前置詞がない。

英語の前置詞は殆どの場合、スペイン語にもそれに対応する前置詞がありますが、英語の”on”に対応する前置詞はなく、他の前置詞で代用します。

英語とスペイン語の前置詞の対応

英語:to → スペイン語:a
英語:for →スペイン語:por または para
英語:in →スペイン語:en
英語:at →スペイン語:a または en
英語:with →スペイン語:con
英語:of →スペイン語:de
英語:by →スペイン語:por
英語:about →スペイン語:sobre
など主要な前置詞の対応は以下のとおりです。

しかし on に関してはスペイン語では en や a,sobre 意味や状況によって前置詞を変えないといけません。